本物に触れることで着物の奥深さを知り、自分のセンスも磨かれる毎日です。
この店で扱う着物はすべて石田先生が産地へ行って自分の足で探したものばかり。職人さんが一人しかいないという着物もあるんですよ。
有名女優さんと打ち合わせする時など、今でもかなり緊張します!
手が空いている時は、ショップへ出て接客などのお手伝いをすることも。
アンティーク着物など、ため息が出るような着物がいっぱい。
(株)らくや 勤務、熊本県出身
辻村和服専門学校 師範科 2006年3月卒
銀座の呉服店"衣装らくや"は、TVCMや雑誌などで活躍する着物スタイリスト石田節子さんのお店です。撮影用のスタイリングから、一般のお客様向け販売やレンタルも行っています。私はここで着物の外注を担当。採寸したり、納品された着物の検品などをしています。とにかく何でも一生懸命の日々。いろんな仕事が入ってくるので、いかに優先順位をつけるかが今の課題です。作る着物も、羽織を帯にしたり、帯3本を合わせて羽織にしたり想像もしなかったような依頼が来ます。でも、ベテランの和裁士さんが、どんな要求も実現しちゃうんですよ。お店の先輩たちも着物大好きな人ばかりで、織りや種類などホントに詳しい。学ぶことだらけです。
さまざまなメディアで活躍し、着物の世界では有名人の石田節子先生。そんな人のお店にどうやって私が入社できたのか・・・師範科の後、研究科で1年学んだので24歳になっていました。そろそろ社会へ出なきゃと思っていた時、たまたま雑誌で見たのがキッカケで"らくや"の存在を知ったんです。ネットで調べると紬(つむぎ)の専門店ということが分り、紬が大好きだった私は「ここしかない!」と飛び込みで自分をPRしに行きました。すると、自分で縫った着物を持って着てくださいと言われ、持って行くと和裁士として採用してもらえたんです。「とにかくやってみよう」という母親譲りの行動力が道を開いたと思っています。
高校時代、浴衣を縫った体験と、日本各地の染色家をレポートした本に出会ったのが和裁に興味を持ったキッカケでした。熊本県出身の私が静岡県にある辻村を選んだのは、奨学金制度があり、特待生になると授業料が半額免除だったのと、自分が見た中で学校が一番キレイだったから。着物を縫い続ける授業は大変だったけど、同じ苦労を分かち合い、励まし合える仲間と出会えたのでがんばってこれました。この時の友人との絆が、今でも一番強いですね。いずれは自宅で和裁士をしたいと思っていますが、その前に、せっかく着物を学べるすばらしい環境にいるのですから、染めや織物などにも挑戦し、もっと自分の可能性を広げてみたいと思っています。