辻村和服専門学校の授業は、着物を作るという実技実習を主体としており、授業時間の約9割をこの実技に当てます。
一日の大半の授業は着物を作ることに費やし、着付け、茶道、染色等の授業が週1回か月1回の割合で組み込まれます。
年間の総時間数約1600~1700時間の内で和裁実習教科の時間は年次ごとに違いますが裁断を含め約1500~1600時間です。
ということは着物を作る実技主体の授業だということがわかると思います。この実技主体の授業が本校の基本的教育方針であり、根幹をなす教科と言えます。木に例えるならば根であり幹であるわけです。そして他の各種教科は、この木の枝であり葉であり、プロ和裁士という一本の立派な木になるわけです。
1年生の1学期には「ゆかた」を実習教材として作ります。この「ゆかた」を作る事が1日の授業の大半になります。和裁実習授業の間に各種教科が週1回か月1回の割合で組み込まれているので、高校までの授業形態とは異なります。あくまで着物を作るという実習主体の授業になります。課題として与えられる反物(着物)は4年間で300枚~400枚くらいになります(高等師範科は5年で350~500枚)。つまり、年間で70~100枚くらいの着物を作っていきます。このくらい着物を作らないとプロとしての技術は身に付きません。モノづくりの上達はたくさん練習することしかありません。練習には豊富な種類や量の教材が必要で、自己負担することは不可能です。本校では教材を全て提供しています。
実習を主体とした授業では、在学中毎朝、かたい素材の帯芯を使って運針の練習をします。(和裁の技術は、一に運針、二に運針。運針に始まり運針に終わると言われます)これでプロの運針技術が身に付きます。
1年次にはゆかた作りから始まり、長襦袢、単衣着物の制作に取り組みます。2年次には袷着物にチャレンジしていきます。3,4年次では付下、訪問着、振袖といった着物や羽織、コートなど多くの種類を縫っていきます。また、4年次には裁断実習、仕上げ実習を通し、4年間のまとめをしていきます。最終学年になるまで、多くの着物を触り、仕立ての勉強をし、日々知識も向上しています。知識習得、経験の積み重ねをした上で、裁断や仕上げを習う方がよりスムーズに効率よく技術習得できます。1年次からとりかかると一見近道のように思われるのですが、そうではないのです。
指導面では、和裁教師のほとんどが卒業生で構成され、教員数も豊富です。担当ごと(例えば裁断担当、コートなど特殊物担当等)のスペシャリストを配置しており、高度で奥深い技術修得をサポートしています。